言葉は、表現面(デノテーション)と内容面(コノテーション)からなっている。たとえば、「愛しているよ」という言葉は、「愛しているよ!」という表現面(=耳で聞けたり、文字で読めたりする面)と「一生君を守るよ」という内容面(表現面から汲み取れる意味の面)からなっている。だから、言葉をそのまま受け止めていい時と言葉の奥にある意味を探って受け止めなければならない時が、あるのだ。
昔を思い出してほしい。小学校から中学校の時にかけて、悪ガキだった私は、よく女の子から「あんたなんか大嫌い!」と言われたものだ。その大半が、本当に嫌いだったのだろうが、残り少ない何人かの女の子は、私のことが嫌いだったのではなく、「好き」だから、気を惹くために言っているようだった(今にしてみれば、そういえるのだが、その当時は、全然分からなかった)。言葉の世界は、「大嫌い」という表現が、「大好き」と言う意味を持ちうる世界なのだ。表現の奥に隠れた意味をどう汲み取るかが、大切になってくるのだ。
だから、子どもの話しを聴く時に、一番注意してほしいのが、子どもの真意を聴こうと意識を集中することなのだ。何で子どもがこんな言葉を使うのだろうかとか、何で子どもは、こんな表情で話すのだろうかとか、この話しをすることで子どもは何を私に伝えたいのだろうかとか、そういう子どもの真意を一生懸命聴こうとすることだ。子どもの真意が、どこにあるのか、そういう関心で親が子どもから話しを聴いてあげることが非常に重要なことなのだ。言葉尻を聞いて、すぐに反応しては駄目なのだ。
子ども:「お母さん、明日から学習塾行かないよ!」
母さん:「えっ!何で?月謝がもったいないでしょ!」
子ども:「塾の先生が嫌なんだよ!」
母さん:「何言ってるのよ!また塾の先生に怒られたんでしょ?」
子ども:「違うよ!兎に角、もう行かないよ!」
母さん:「駄目よ!しっかり行きなさいよ!」
子ども:「お母さん、明日から学習塾行かないよ!」
母さん:「どうしたの?」
子ども:「塾の先生が嫌なんだよ!」
母さん:「どんなところが嫌いなの?」
子ども:「えこひいきするんだよ!」
母さん:「ひどい先生ね。何かあなたもえこひいきされたの?」
子ども:「そうじゃないんだけどさ。いきたくないんだ!」
母さん:「先生が嫌なほかに、何か理由があるの?」
子ども:「うん、・・・」
子どもが話すことを聴くということは、子どもの気持ちに即して、親から積極的に子どもの真意を聞き取ることだ。そのために、子どもの言うことを追認しながら、子どもの真意が分かるような質問を投げかけていくことが、大切なことなのだ。言葉の奥に隠れた意味を聞き取るように、意識的に会話に参加していこう。
それが、聴き上手になる一歩だ。