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2008年03月22日

全国学力調査に想う


 全国学力調査が、これほどスムーズに浸透したのは、ゆとり教育による学力低下問題のおかげだ。それは、教育問題を学力問題に矮小化してしまった日本の文科省の最大の貢献だ。2002年の教育改革で、日本は、目には見えない複線化(エリート教育と大衆教育の二極化した学校制度)の学校制度にこれからドンドンなっていくことになる。
 その仕掛けの一つが、この全国学力調査だ。日本の児童・生徒の学力レベルを知りたければ、任意の学校を抽出して行えば、それで済むところを無理やり全国に押し広げ、無駄に税金を使って、学校の序列化を押し進め、学校に学力忠誠競争を浸透させ、学力の高低で生徒を一元的に管理し、評価していく。そして、学校や教師までも学力を物差しにして、評価していくための仕掛けが、全国学力調査だ。
 教育は、学力をつけるために行うのではない。一人前の人間=大人になっていくために、課題を設定し、その課題を乗り越えることを通して、一人前になる過程が、教育だ。だから、学力を獲得することが、目的ではないのだ。
 学力の獲得を通して、自分と向き合ったり、知的好奇心を喚起されて社会や科学や生活に興味を持ったり、そして、仲間と協同して何かを成し遂げる中で、一人前になっていくことが、教育の目的なのだ。だから、学力をつける過程は、教育の目的ではなく、手段なのだ。このことをもう一度私たちは、確認するべきだ。



2008年03月10日

教育は、学力を獲得することが目的ではない。


 先月の初めにNHKのディレクターの方が事務所にみえて、学力低下問題について話をした。教育問題と学力低下問題を同一に考えるべきではないとお話したが、その中で、学力を獲得することが、教育の重要な側面ではないのだと強調しておいた。
 昨今は、学力の高い人が人間的にも上で、学力の低い人が人間的にも下だという風潮があるが、決してそんなことはない。学力が高くても低くても、一人前の大人になることが重要なのだ。知識の獲得競争にむいている人間もいれば、むいていない人間もいるし、知識を活用することに長けている人間もいれば、そうでない人間もいるのだ。子どもの一時期をそういう単純な価値観で縛ってはいけない。
 学校教育で重要なことは、学力を獲得するということではなく、学力を獲得する過程の中で、さまざまなことを経験することにある。学力を獲得することが目的ではなく、学力を獲得しようと格闘する中で、身につける社会性が重要なのだ。
 目の前にある課題に対して誠実に対応するとか、見本になる人の真似をすることで、見本となる中身が自分の中に入ってくるとか、そういう経験が重要なのだ。学びの基本動作を学ぶことで、子どもから責任ある社会の構成メンバーとなり、現実から学んでいけるようになることが重要なのだ。単なる学力獲得忠誠競争に勝利することが、学校教育の教育効果ではないのだ。そのことを忘れないで欲しい。
 学力という基準だけで、子どもを評価しては駄目だ。他人に対する共感力や相互扶助的な行動力や問題解決能力などの基準で、子どもを多元的に評価していくべきなのだ。そうすれば、子どもはきっと今よりももっと活き活きするはずだ。



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