教育は、学力を獲得することが目的ではない。
先月の初めにNHKのディレクターの方が事務所にみえて、学力低下問題について話をした。教育問題と学力低下問題を同一に考えるべきではないとお話したが、その中で、学力を獲得することが、教育の重要な側面ではないのだと強調しておいた。
昨今は、学力の高い人が人間的にも上で、学力の低い人が人間的にも下だという風潮があるが、決してそんなことはない。学力が高くても低くても、一人前の大人になることが重要なのだ。知識の獲得競争にむいている人間もいれば、むいていない人間もいるし、知識を活用することに長けている人間もいれば、そうでない人間もいるのだ。子どもの一時期をそういう単純な価値観で縛ってはいけない。
学校教育で重要なことは、学力を獲得するということではなく、学力を獲得する過程の中で、さまざまなことを経験することにある。学力を獲得することが目的ではなく、学力を獲得しようと格闘する中で、身につける社会性が重要なのだ。
目の前にある課題に対して誠実に対応するとか、見本になる人の真似をすることで、見本となる中身が自分の中に入ってくるとか、そういう経験が重要なのだ。学びの基本動作を学ぶことで、子どもから責任ある社会の構成メンバーとなり、現実から学んでいけるようになることが重要なのだ。単なる学力獲得忠誠競争に勝利することが、学校教育の教育効果ではないのだ。そのことを忘れないで欲しい。
学力という基準だけで、子どもを評価しては駄目だ。他人に対する共感力や相互扶助的な行動力や問題解決能力などの基準で、子どもを多元的に評価していくべきなのだ。そうすれば、子どもはきっと今よりももっと活き活きするはずだ。
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